武田氏のコピーは、毎度のことで申し訳ありません。読んでほしくて。
納得です。
====中部大学 武田邦彦氏のブログから
消費税は増税か減税か?(2) お金は子どもの負担を減らすか?
「tdyno.366-(8:47).mp3」をダウンロード
私が消費税増税に反対なのは、「社会保障と税の一体改革」ということが現実的に消費税の増税では実施できないことだ。社会保障と年金は少し意味合いが違うが、政府の考え方は判る。1960年代に日本に年金が導入されたとき、当時の厚生省年金課長は次のように発言している。
「大営団みたいなものを作って、政府の保険については全部委託を受ける。そして年金保険の掛金を直接持ってきて運営すれば、年金を払うのは先のことだから、今のうちどんどん使ってしまっても構わない。
使ってしまったら先行困るのではないかという声もあったけれども、そんなことは問題ではない。 貨幣価値が変わるから、昔3銭で買えたものが今50円だというのと同じようなことで早いうちに使ってしまったほうが得する。
20年先まで大事に持っていても資産価値が下がってしまう。だからどんどん運用して活用したほうがいい。 何しろ集まる金が雪ダルマみたいにどんどん大きくなって、 将来みんなに支払う時に金が払えなくなったら賦課式にしてしまえばいいのだから、 それまでの間にせっせと使ってしまえ。」
役人としてはあまりにも正直すぎるという感じもするが、この談話は厚生省の内部に向けたもので、少し気が緩んだのだろう。でも、これが役人の年金に対する考え方だったし、破綻は目に見えていたことは良くわかる。
この時、国民には「揺りかごから墓場まで」と言い「皆さんが積み立てたお金がやがて老後に帰ってくる。企業も年金の半分を負担してもらう」と説明していたが、実際には、この年金課長が言っているとおり、「大きなお金が集まるので、政府から委託を受けてドンドン使ってしまえ! どうせ貨幣価値が変わるのだから、お金を抱えていても腐ってしまうだけだ。支払い時期になったらお金がないけれど、その時には「積立方式」ではなく「若い人が年金を払うという賦課方式」に変えれば良いだけのことだ!」と言っている。
とても重要なことなので、少し政府側の意図も入れて内容を解説すると、
1)これから年金制度を始めるが、日本では初めてのことなので、国民は本当のことを理解できない、
2)本来は年金は「賦課方式(その年限りの決算で若い人が、老人の年金を払う)」事しか無いけれど、それでは「他人のお金を自分が払う」ということになり、国民が納得しないだろう。
3)だから、最初は「自分が老後のために年金を積み立てる」ということにする。
4)でも、年金の額が大きいとこれもまた不満になるので、給与を出している企業から半分だすようにする。
5)国民の全部が大企業に勤めていたり、職を変わったりしなければ、企業が個人に出したお金を個人の口座に入れることができるけれど、千差万別だから、どうせ管理はできない。つまり事務的には早晩、破綻するだろう。
6)でも、それしかない。
7)社会保険庁には日銀以上のお金が集まり、そのうち国家予算より大きくなるのだから、そのお金を寝かせておくことはできない。政治家も狙ってくるだろう。
8)また、どうせ物価が上がるから年金を支払う時期になったら、積み立てたお金は二束三文になる。でも将来のことだから、今、そんなことを言っても国民の理解は得られない。
9)だから、ドンドン、今のうち天下り団体を作って使ってしまえ!
10)そしてやがて年金が破綻するから、その時にはまず「若い人が老人を支えないと」と言えば、日本人は40年前のことは忘れて、「そうしなければ」と思うだろう。
11)それでも、老人が増えて年金が破綻するから、その時には消費税でも作って「税と社会補償の一体化」などと言えば良いだろう。
12)税金を増やせば、年金と同じでドンドン使ってしまえば赤字になり、「赤字を子どもたちに残すな」と言えば、また増税できるから心配ない。 ということだ。
「悪辣だ!」と国民が怒るかも知れないけれど、怒らない。そこまで考えることができる日本人は少ない.学校教育でも「言われる通りにする子が良い」と教え、NHKが「懇切丁寧に、解説付きで放送する」ことをするので国民は「言われたことを理解するけれど、そこに潜む矛盾には気がつかない」のは当然だからだ。
「社会保障」はもちろん年金だけではないけれど、この例で判るように「税と社会保障の一体改革」という雰囲気だけでは同じ事がおこる。
国民がもう少し「どれがどうなったら、どうなるか」を考えなければ、永久に増税は続く。まず「なぜ、今まで膨大な赤字が出たのか?」という原因を考えることからスタートしたい。
(平成25年9月3日)
====ここまで
納得できないのは、この始まりの思想が今も受け継がれていることです。