11月8日pm13;00に、今回の研修旅行で一番訪問してみたかった牧場を訪問。
最初にNZのことわざをひとつ紹介します。
『牛の乳頭は4つあるが、それを搾るとき、「1番目の乳房は銀行のため、2も銀行、3も銀行、最後の4番目から出る牛乳は自分の牧場の取り分」だ』と言いうものです。
今回このことわざが、ニュージーランド(NZ)の乳牛農家の苦境を正確に言い当てている現実を目の前にしました。
牧場名 Michael and Margaret Olver’s property
2000頭の羊を飼育。(牛の飼育頭数は失念しました)
羊の品種は、テクセル、クープワース、イーストフリージアン、フインとこれらの交雑です。
400haの広大な牧場を所有。放牧地はほとんどが山岳地ともいえる険しい山にあります。
その中で平地であろうと思われる65haはサイレージ用、30haは乾草を作るために使用しているとのこと。作付や収穫は専門業者へ外注しています。
オーナーは、乳牛や羊の飼育管理、草地管理と牧柵修理などを主としています。雇用者はいなく、基本的に70歳のご主人と奥様が管理しているとのこと。
牧場最大の特徴は無農薬であること。そして除草剤も使わず、羊はオーガニック食品として2ドル高く販売しているのです。
雑草も除草剤を使わないので、アザミなど羊の食べない草は人間の手で抜き取らなければなりません。これが最大の仕事だったそうです。
また、化学肥料は散布しませんが、まれに自然由来の肥料を撒いています。
牧場は牛と羊を飼育していますが、理由として、羊の食べる草と牛の食べる草が別であり、相互補完ができるので良いと述べていました。
つまり、牛の食べない草を羊が食べることで、羊は除草剤替わりになっているともいえます。このことは言葉を変えると、牛にとっての雑草は、羊の重要な飼料ともいえるのです。
分娩に関しても、自然の状態で、しかも放牧地でさせています。
昨年(2011年)は、雌羊779頭で1248頭の仔羊を生産。出生率は161%で成績には満足しているとのこと。
管理は自然のままが最高だという考えから、できれば尾も切りたくないと話していましたが、実際には6週間でゴムリングをはめ落とすようです。
また、アザミの退治が体力的にも大変な仕事だとも話していました。
あまりにも沢山生えている場所は電気柵で区切り、ローラーで踏みつぶし、牛に食べさせています。
考え全体に、できるだけ自然な状態で飼育したいという思想と、効率的な作業を共存させているのは見事というほかありません。
残念ながら、経営の観点だけから見ると、羊より乳牛のほうが利益が出るとの話です。
それにしても、400haの牧場は見るからに広大で、東西。南北間の距離を聞いたが、考えたことがないから分からないなと言いながらも6kmと3kmくらいではないかと応えてくれましたが、それほど広大な牧場なのです。
6000m×3000mは400haになりませんが、広すぎてよくわからないのはよくわかりました。[^^;;
今回の研修で、ここの牧場視察は私にとって目的の一つでしたが、結論を先に書くと、大きな成果を得ることができました。
一つには、自分自身の立てた目標の間違いなさの確信です。
弊社の北海道サフォーク牧場では、親羊250頭と育成50頭の300頭を飼育しています。
放牧地は山を開墾し種を撒き現在も造成中ですが、開墾してから6年とまだ歴史は短いのです。
開墾当初から、薬品は使わない、除草剤は使用しない、そして化学肥料は撒かないの三つを目標としていました。
現在予定どおり運営していますが、しかし山を開墾して放牧地にしていたので、草地と言ってもまだ恥ずかしい出来具合です。
そんな状態でこれからも肥料を撒かないでやっていけるのかと、不安でしたが、今回の研修旅行で最初に立てた自分の方針の確かさを実感しました。
もう一つには、弊社の羊牧場も結構厳しい山地帯です。
今回の視察先のやっていることは、そのまま弊社にも当てはまり、参考になるものでした。
険しい山地帯で飼育できる家畜と言えば、羊かヤギが当てはまると考えられます。
ニュージーランドを空の上から、また車で通りすがりに眺めるだけなので、詳細を理解したとはいいませんが、日本と同じような国土を、有効に使っていると実感しました。
平地では牛や馬が多く、広陵地帯や山岳地というほどの険しい山中に入ると、見えた範囲でも羊の牧場が多かったのです。
地理的要件をうまく利用して家畜を飼育しているNZの事実を見ると、このことは私ばかりではなく日本国が見習わなければなりません。
素晴らしい農業のNZ。比較して日本の農業はエヌジー。[^^;;