安さには理由が、

2002年雪印食品、2007年ミートホープ。

もう10年から15年も前の話ですが、ほとんどの人はまだ鮮明に記憶しているでしょうね。

特に北海道の人は。

この発覚は内部告発によるものです。

とくに我が社株式会社アイマトンは北海道で食肉を扱う会社ですから、よその会社の出来事と簡単に片づける分けにはいきません。

 

実はこれらの食肉偽装は自社でありませんが暗黙の内に承知はしていたのです。

例えば松坂牛。

これなどは明らかに北海道で売られるような量が有るわけではありません。

しかし北海道のデパートの肉屋では普通に売られていました。

我が社の社員が研修に入ったきその不正を目の前で見ていました。

黒豚も同様です。

この2件の事件いらいさすがに極端な例は無くなっていますが。

 

株式会社アイマトンが創業してから5年くらい経ったころでしょうか。

留萌の自衛隊に肉類の見積もりに参加したのです。

2年間くらいでしょうか。

ほとんど落札できませんでした。

というよりゼロかな。

旭川の肉屋と雪印食品が落札していました。

ほとんどの会社は安く売るには安く買うという裏付け必要です。

それが、弊社の仕入れ価格より1割も安い値段で落札しているのです。

最初の1年くらいはその仕組みに気が付かず悔しい思いをしたものです。

ただただ自社の仕入れが高いのだと思っていたのですから。

何回かの後、どうも見本と実際納める商品と違うのだと気が付いたのです。

で、自衛隊の入札を止めました。

 

それから数年あと千歳の営業所も自衛隊と学校給食の入札に参加したのですがほとんど落札できませんでした。

その時はもう理由が分かっていました。

学校給食にはその仕組みを話してみましたが「どうにもならない、入札は価格だから」と値段の安さだけで決まっていたのです。

ここも事前の見本提出と落札後納入する商品を違えて肉を納めていたのです。

つまり、偽装です。

ここではミートホープとも競合していました。

 

それと前後してあるときミートホープの社長が急に訪ねてきました。

自社の紹介のあと「社長、肉を安く売ってくれないか」とのこと。

「御社の方が安く買っていると思うので、それはないですね」

当時の企業規模はミートホープは6倍くらいのはずです。

「そうじゃなく、御社でも売れない肉が出るでしょ。そういう何処にも売れない肉を売って欲しいのです」

続けて「腐る手前なら、どんな肉でも買いますから」と。

そのとき思ったのです。

この会社と取引するのは危ないなと。

 

1999年当時のミートホープは東京商工リサーチ社の点数が63点でした。

63点と言えば超優良企業。

同じ年の株式会社アイマトンは58点。

数字だけ見る調査会社は裏を調べようも有りませんからこれは受け入れるしかありません。

つまり、調査会社ばかりではなく社会全体で不正を働く企業を受け入れていたのです。

受け入れる根拠は価格の安さ。

結論は安さの追求が生んだ不正でもあるのです。

 

なぜこうなったか。

それは消費者が望むから。

と言ったら言い過ぎでしょうか。

世の中のほとんどの会社はお客様が欲しいと思うものを作るだけですから。

 

これに抵抗し正直を貫くのは強い意志が必要です。

良い会社だと認知されるまであとどれほどの時間がかかるのか。

一筋縄ではいきません。