Tさんの話

奥様の初七日が過ぎた友人の自宅を訪問しました。

正直に話せば友人と言うより師匠です。

Tさんは70歳ちかいでしょうか。

精神的に行き詰ったようなとき、特に何を話すと言う訳ではありませんが、同じ空気を吸うだけ落ち着くんです。そんな人です。

夫婦仲がとてもよく、奥様は訊ねるといつもフルーツヨーグルトを出しもてなしてくれました。

仏壇に手を合わせてから、1時間ほど話をしていたでしょうか。

「岩井さん、俺は自分の大事なところ意外、自分で体を洗ったことが無いんだ」「若い頃から」

「若い頃は小さな子供二人を次々と風呂へ入れて、『はい、お父さんの番だよ』と、最後に俺の体を洗ってくれるんだ」「それが嬉しくって」

「いままでず~っと、それが続いているんだ。おれは仕事以外うちのことはほとんど何もしなかったんだ」

「いたずらで、ホッペを『ちょん』と突いたり、ふざけて頭をなぜたりしてくる。そんなあいつの全部が好きだったんだ」

「おれはあいつのことが、好きで好きで・・・、惚れて惚れて、ものすごく大好きだったんだ」

「垂れたおっぱいも、しなびた体も、全部好きだったんだ」・・・・・・

目を真っ赤に泣き晴らしながら、鬼のような形相で涙をボロボロと、そんなことを話されたって、なんとも言葉の掛けようが無いんです。

切ない1時間でした。

奥様は私のブログを読んでいて、2回ほど前の訪問だったでしょうか、「岩井さん、やさしいんだね」と。

「ブログの書き方が優しいよね~、ブログを読んでいると、岩井さんの優しさが伝わってくるよね」と。

いくつになっても、褒められるって嬉しいですよね。

合掌