いのちの元

子どものころから、田舎の我が家は水で苦労していました

自宅には井戸がありそれを使っていましたが

その井戸も

真夏になると水は出なく

そばの沢まで汲みに行くのです

その沢も雨が降ると泥水が流れこみ使えなくなる

その繰り返しです

そういえば、井戸水も雨が降ると泥水が入るのでしょうね

いつも濁っていました

井戸は濁ると

全部汲み終えるまで濁りは解消しません

雨はひと夏に何回も降ります

 

その後沢水をビニールホースで台所まで取り込みました

しかし、ここは北海道

冬の入り口のマイナス気温

ホースのどこかが凍結し水が出ないことは何回もあります

一冬に5回は在りましたね

そんな時は家でお湯を沸かし、

そのホースに手ぬぐいを巻きつけお湯をかける

凍れたところを融かすのです

お湯運びは小学生の私の担当でした

でも沢水

雨が降ると濁る

渇水期には出なくなる

毎年この繰り返しでした

 

ある年に祖母が路線バスにはねられました

祖母が70歳寸前の時です

いま私はその年齢

 

祖母が渡る交差点は青

横断歩道に入ったところではねられたのです

そのとき父は次男でしたがバス会社と示談交渉にあたったのです

示談終了後長男の伯父が95%

下の叔父と父は15万円

当時でも多い金額ではありません

 

その時私は父に提案しました

「我が家は飲み水で苦労してきたので、

このお金を湧き水を引き込む工事に使おうよ」と

「おばあちゃんも喜ぶと思うよ」とも

 

そのお金で敷地の200m上から湧き水を取り込み

やっと飲み水の苦労から解放されたのです

 

祖母の命が私たちの命をつないだのです

 

その湧き水は今も家畜の飲み水として使っています