株式会社アイマトンは創業25年。
創業当時は、お金が無い、信用も無い、お客様も無い、そして歴史も無いの無い無い尽くしでした。
当然仕入先も無いので、商品調達にはずいぶん苦労したものです。
創業当時は養豚業も経営していて1000頭ほど飼育していました。
生産された豚は産地問屋を通して、Pハムへ納品していたのです。
そんなことから、株式会社アイマトン(当時はアイマート)創業時に、肉加工品の仕入をお願いしました。
「売りません」とのこと。実にあっさりしたものです。
当時はスーパー全盛期で、街の肉屋さんや小さな鮮魚店、青果店、雑貨店などが、次から次へとつぶれていた時代です。
『そりゃそうだよなぁ~』と、これにはすぐ納得。
だって、何も無いところから肉屋を初めたのが相手にとっては心配の一つ。おまけに社会情勢がそんなことですから。
で、次に提案したのが現金での仕入です。
「い~~や、売りません」と。
さすがにこれには頭がプッツンです。
でも、当時のその怒りを、何処へもぶつけることはできず、悔しさと生唾を一緒に音も無く飲み込むしかありませんでした。
しかし、それで怒りが治まったわけではなく、この屈辱は25年経った今でも残り、当時の状況をありありと思い出すことが出来ます。
こんな話はPハムばかりではなく、他にも数社あります。
昨日来社したN畜産もそうでした。
妻の従兄弟の伝をたどって、N畜産の本社(営業所かも)を訪れ、営業担当の課長さんと面談をしたのです。
で、こちらは感触も良く「はい、わかりました。改めて訪問いたします」とのこと。
内心『やった~、これで肉屋としての商品構成が一段と良くなる』と喜んだのも1、2週間。
1ヶ月経っても誰も来せん。
そこで、2ヶ月たった頃、もう一度訪問するも、前と同じ返答です。
それから3ヶ月ほど待ちましたが、なんの反応もなし。
お陰さまでお取引を引き受けていただいたメーカーが他にあったので、現在に至っていますが、そんなこんなで当時の屈辱はいまだに抜けません。
ところがこのN畜産、このたび縁あって取引をすることになりました。
昨日営業部長初め3人様に、本社を訪問いただき詳細を詰めました。
全て終えた後、創業当時から抱えていた屈辱「なにくそ、絶対に負けない」と張り詰めた感情が、必要なくなったことで、少しの虚脱感もあります。
『なにをそんなに片意地を張っていたのだろう』『なんでそんなにむきになるの?』と。
いまはただ『これでひとつ片付いたな』と、安堵の気持ちが大きいのですが、しかし、そんな中、別な心配が頭をもたげてきました。
株式会社アイマトンは、当時のPハムやN畜産のようなことを、お客様にしていないだろうかと。
外食産業は新規参入と大量撤退を毎年毎年繰り返しています。
その中から、残っていく店、そして成長していく店があるのです。
私たちは、そんな新規参入の会社や店舗様とどのように接しているか、ここは重要です。
人様に無意識にでもとった対応が、自社の将来にどれほどの影響がでるか解りません。
また、人を傷つけることもあるでしょう。
その結果起こった現象に、長い時間をかけて解決されるならまだしも、修復不可能なこともあります。
新規のお客様、初対面の相手には特に慎重に接したいものです。
(この文章を社内会議室にも掲示しておきます。)